【就活生必見!】家庭用ゲーム業界の現状と今後!?可能性は!?【2018年版】
今回は業界で働いている筆者が「ゲーム業界の現実」について語っていきたいと思います。
最近なにかと賑わっているゲーム市場。
「NintendoSwitch」の躍進により、家庭用ゲーム機の需要が高まり、かつての「Wii」や「DS」の時代を彷彿とさせるような盛り上がりを見せています。
ゲーム業界の人間としては非常に喜ばしいニュースですね!
これで「ゲーム業界は今後可能性がある!将来はゲームクリエイターになろう!」と夢見る人たちが増えたら、それに越したことはないです。
しかし、同時に危惧している事もあります。
それは「ゲーム業界に入った時に夢と現実とのギャップに苦しむ人が増える事」です。
僕は今まで、そういった人たちを幾度となく見送ってきました。
「もうおくりびとは嫌だぁ!」
就職活動をする上で今後の市場動向などがわかっている人の方が面接時にはかなり有利です。
とはいえ、ゲーム業界にいない人が市場動向を知るには限界があるので、今回はこの場を借りて生の声を届けようと思った次第です。
あらかじめ、言っておきますが、この記事を読んで夢が壊されてしまうかもしれません。
しかし、生半可な覚悟でやっていけるほど、この業界は甘くはありません。
後悔してからでは遅いですし、予め業界の真実に目を向けてほしいのです。
その上で諦めるのも挑戦するのも、あなた次第です。
その時は全力で応援します。相談にも乗ります。
※あくまで調査と経験に基づく話なので、一概には言えません。ご了承の上、参考程度にご覧ください。
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ゲーム業界の現状
出典:ファミ通ゲーム白書2017
こちらは、2007年~2016年までの国内ゲーム市場規模推移です。
「ゲーム」と一括りにしては、国内ゲーム業界の動向が見えてこない為、
「家庭用ゲーム」と「オンラインゲーム(スマホ含む)」に分けて、一見して内訳がわかるようにグラフ化してみました。
こうしてみると、綺麗に
・「家庭用ゲーム」市場が縮小
・「オンラインゲーム(スマホ含む)」市場が拡大
していることがわかります。
業界ニュースでは「2017年の国内ゲーム市場は歴代最高に!」と騒がれていたりしますが、その実情はスマホゲームの躍進によるものです。
2017年3月では「Playstation4の国内販売数が450万台を越えた」と報道された為、「お、家庭用ゲーム業界潤ってきてる!」と好景気を感じたとするならば、それは幻想に過ぎません。
上のグラフをご覧頂いたらわかるように、年々少しずつ衰退してきているのがわかります。
それではなぜ、年々、国内の家庭用ゲーム市場は縮小してきているのか。
その原因について、いくつか考えられるところを紹介していきましょう。
1.スマートフォンの普及
家庭用ゲーム市場が衰退し始めた時期は、2004年に発売された「Nintendo DS」が爆発的に売れた2007年からです。
出典:任天堂株式会社
懐かしい・・・。
当時のDSは今のようなスリムなボディというよりは少しメカメカしい男性ウケしそうなデザインでした。
「Nintendo DS(3DS含む)」の販売数は2017年6月末時点でなんと
約2億2000万台!(総計)
ちなみに
「NintendoSwitch」で470万台。
「Nintendo Wii」で1億160万台。
こうしてみると、いかに驚異的な人気だったかが伺い知れます。
2007年時点で躍進の兆しが見えた家庭用ゲーム市場は
「やがては1兆円市場になるだろう」と期待されていました。
しかし、そこから衰退の一歩を辿り始めるのです。
理由は「スマートフォンの普及」
それまでは、ガラケーと言われた折りたたみ式の携帯が普及していたのですが、よりスペックの高いスマートフォンの登場により、携帯としての用途だけではなく、いつでもどこでもゲームがプレイできるようになりました。
つまり、「ゲームの新たな体験シーンを作り出した」という事です。
専用機を買わずして、「自分が手元に持っている必需品(スマホ)でついでにゲームもできちゃう」ともなれば、わざわざ専用ゲーム機を買うでしょうか。
答えはわかりますよね?(もちろん、専用機ならではの体験が好きな人もいるので一概には言えませんが…)
実際にスマートフォン普及の開花時期というのは、2006年から始まっているそうで、「Nintendo DS」の躍進した年である2007年の時期と被っています。
その時期から徐々にお互いの市場が入れ替わってきている事がグラフから伺い知ることができます。
そして、段々と
・家庭用ゲームは「コアユーザー向け」
・スマホゲームは「ライトユーザー向け」
という棲み分けになっていきました。
2.市場規模に見合わない労働者数の少なさ
これは、直接的に家庭用ゲーム市場規模を縮小させている原因になっているというわけではありませんが、関連性が非常に強いものだ考えています。
国内のゲーム開発者は推定で約2万5000人と言われています。
(スマホアプリ開発者を入れれば、もっと多いかも)
ゲーム市場に限った話ではないですが、市場規模に比べ、労働者が少ないという状況というのは、言い換えれば
「労働者数に見合わない大きな仕事を要求されている傾向にある」
とも言えるので、厳しい就業環境の中で頑張らなければならないという事です。
そうなると、やがては業界から去ってしまう人が増え、さらに労働者は減少します。
その上、ゲーム業界というのは特殊なスキルを要する仕事が多いため、就業者が増えにくい業界です。
つまり、
①市場規模が縮小
↓
②厳しい就業環境になる
↓
③就業者が辞めていく
↓
①に戻る
というふうに負の連鎖が始まります。
これについては、ひとえに言い切れないのですが、家庭用ゲームへのライトユーザーの囲い込みに失敗している日本では、海外展開も視野に入れて国外からの収益を得る方向性で考えていかなければ…とも思います。
3.大半のソフトの需要は海外製のもの
なぜ「国内でもPS4は確かに売れているはずなのに、なぜ年々衰退気味なのか…」と感じるのかという事に対しては、「需要のある大半のソフトが海外製のものである為」という理由によるものが大きいかと考えます。
世界で人気の出ているソフトの
●「マインクラフト」-1億2000万本
●「グランド・セフト・オートⅤ」-7500万本
●「コールオブデューティー ブラックオプス」-1500万本
●「オーバーウォッチ」-2500万本
など、名だたるタイトルの全てが海外パブリッシャーによって制作されたものです。
とはいっても、日本のゲーム企業も負けじと躍進しています。
ここ最近でいうと
●「バイオハザード7」-400万本
●「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」-500万本
●「ファイナルファンタジーXV」-600万本
●「DARKSOULⅢ」-500万本
などですね。
こうしてみると、世界に誇れる国産タイトルはたくさんあるのだなぁと思います。
数値にしてしまうと、世界に比べ、販売本数がやや少ないように感じます。
これは海外と日本のユーザーの趣向の違いによるものが大きいです。
日本では、ストーリーや設定を重視した「RPG」ジャンルが好まれますが、
海外では、フォトリアルで没入感の高い「FPS」や「ストラテジー」が好まれます。
このような趣向の違いは需要に大きく左右される為、日本のゲームは海外で売れにくい状況を生み出してしまいます。
とはいえ、今の御時世「10万本売れれば、ヒットタイトル」と言われている中でミリオンを達成しているのは凄い事ですし、日本人として誇りに思いますが、国産タイトルで収益を得ているタイトルはほんのわずかです。
国内の家庭用ゲーム市場規模が縮小の一途を辿っている理由は、その大半の収益を海外タイトルに奪われているという側面があります。
まとめ
結論からいうと
「国内の家庭用ゲーム業界は窮地に立たされている」という事です。
反対にスマホゲーム業界は競争が激化していますが、家庭用ゲーム業界に比べると伸長している方なので、希望は持てます。
日本では家庭用ゲームよりもスマホゲームが普及してきています。
さらに、市場規模推移に合わせ、開発予算も縮小してきています。
海外はゲーム産業が盛んで、ゲーム開発における技術も日本よりもはるかに先進的で発展しています。
ゲーム開発に使っているツールなどのほとんどが海外製の為、日本に浸透するのが一歩遅くなると技術的にも一歩遅れる事になるんですよね…。
対して、日本は技術的に停滞気味な上に開発費は高騰していくばかり。
さらに、開発予算も市場規模に見合わない形で縮小してきている為、大規模で海外から需要のある「最新技術を投影したリアル嗜好のタイトル」を作りにくい環境になってきています。
このような環境であるのに競争が激化している海外のゲーム業界で生き残りを賭けた戦いなどできるはずもありません。
あくまで一個人の考察ですが、今後の日本は「趣向の違い」や「技術力の伸び悩み」により、拮抗している世界のゲーム市場の中での競争力を失い、存在感を失っていくでしょう。
さらに、一方で堅調に成長を続けているスマホゲーム市場に傾倒していく事により、ますます家庭用ゲーム市場での存在感を失い、負のスパイラルが出来上がってくる事でしょう。
しかし、昨今では任天堂から大躍進を遂げた「NintendoSwitch」も発売され、新たなゲーム体験を全世界に発信しました。
日本の企業もまだまだ負けていません。
かつてのゲーム大国と言われた日本が息を吹き返す為には、より多くの仲間が必要になります。
日本人としての誇りをもって、共に世界と戦っていきましょう。
夢中になって書いていたら、4000字を超えました。
少し長々と書いてしまった為、ここまで読んでくださっている方がいれば、本当に嬉しいです。
また、好評でしたら次回はもっと突っ込んだ「~ゲーム会社編」などもやってみようかな。
それでは、また。
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